1901年の夏のこと・2

こんにちは。宇留賀瑞穂です。


前記事の続きを書きますね。




……………………………………


1901年夏の宮古島


優しい夫さんは、気の合う隣の家のコウさんに
ニコニコと話しかけました。



「コウ兄さん、息子くんは元気そうだねえ。」


コウ兄さんの家の
かまどで火を起こす母親の回りを
走ったりくっついたりしながら
坊やが遊んでいます。


「おう、この前まで赤ん坊だったけどなあ。」
コウ兄さんは目を細めて息子を見やります。



「嫁さんの体調はどう?小さい子供抱えてさぞ休む暇もないだろう」
「そうだね。つわりが収まって大分落ち着いてはきたそうだ。大事にしなくちゃね」


嫁さんはすぐ側の、家のなかにいます。



「あのさ、コウ兄さん、


今日はちょっと話しがあるんだけど」




「なんだ、あらたまって(笑)」


「あの、うちのお腹の子さ、うーん、なんだか女の子のような気がする」



「女の子か!そうかもだね、上が男の子二人だもんな。」


「そうだね、女の子だったらいいねえ。」


「かわいい女の子だったらいいねえ。」


「かわいい女の子だったらいいねえ。」


「そうさきっと、かわいくてあぱらぎな(美人な)女の子だ。」



……………………………



それから二人はどんな話しあいをしたのでしょうか。


とてもすてきな、かつ、思い入れのつよーいお約束をしたのでした。



"生まれた子供が女の子なら、コウ兄さんの長男に嫁がせようね。"




どうぞ、かわいくてあぱらぎな女の子が生まれますように…………




年明けて、月満ちて、
丑年の冬がもうすぐ明ける頃。



苦労少なく安産で、元気なかわいい女の子が生まれました。



すやすや眠る赤ちゃんを抱いて、
優しい夫さん=お父さんは
くしゃくしゃの笑顔で言いました。



「ポカラッサ!ポカラッサ!!」(うれしい!このうれしさよ!!)