孫たちの作戦

こんにちは。宇留賀瑞穂です。


2020年11月
こちらは東日本の秋です。
季節外れの暖かさに
驚いています。


「暖冬」はよく耳にするしますが、
「暖秋」という表現もあるそうです。


それに似たことばに「小春日和」が
あるのですが、
恥ずかしいことに私は二十代まで
「小春日和は、春の暖かい日を表す」
言葉だろうなーと思っておりました。


ものを書くのは恥をかくonz


今日も恥を書きましょう。
前記事の続きです。



………………


次兄が半年ぶりに帰郷しました。
オバアは大喜びです。


アガイアガイ、ンニャ!(あいたたた、大変!)、
と言って立ち上がり、腰を伸ばし


いつものように、
朝早くからお茶碗を洗って
新しいお湯を沸かして、
御仏壇にお茶とお酒をお供えして


「今日は章ちゃんが帰って来ますよ、
長旅無事に帰り着きますように」と
日頃の感謝も込めて
てぃーゆかみてぃ(手を合わせ)
子孫へのご守護を願う祖母でした。


「オバアただいま!」「アバイー章ちゃん!」
オバアがシワだらけの両手で
孫の顔を撫でます。



(「アバイー」は、
「あー」でも「まあー」でも
「かわいいー!」でも何でも
まあ好きな言葉で訳してください)



お土産を御仏壇にうさげてぃ(お供えして)
しばらくしたら有り難くお下げして、
章兄ちゃんと土産のお菓子を囲みます。


たのしいひととき。


しばらくして
台所に来た次兄が、ゴミ箱に幾つもある
カップ麺の空容器を見ました。


「あれ、誰が食べてるの?
こんなに沢山?」


私「誰だと思う?ふふふふ、
オバアなのよ。1日1回、必ず毎朝」


章兄ちゃんは驚き「えー、オバアにカップラーメンは
ダメでしょう。
栄養ないし、塩分多すぎだし」


ですよね。


「勿論スープは飲まないように話してある。
でもカップ麺だからね…それはそうだけど」


章兄ちゃんへの説明は
サバ話から始まり、


ブームは今やカップ麺に移行して、
私とにーの説得と、苦心と挫折の日々、
既にブームは2ヶ月になると。


章兄ちゃん「うーーーーーむむむ……、
そんなに好きなの?何でだろう?」


あらあら説明し
「やっぱり『入院・重体・回復』の時に
見たものって、かなり特別なのかも。」……


私「……あっ、


そうだ、思い出した!」


「オバアがあの時、ベッドから
『一体あなたは何を、美味しそうに食べてるの?』と聞いてきたんだ!」


章兄ちゃん「お前、なんて答えたの?」 


金ちゃんヌードルよーと答えた。そしたらオバアが
『わたしも、ひと口食べたいなあ』と言ったから」


章兄ちゃんはさらに
「言ったから、お前はなんて?」


私「それでオバアに、『これは栄養無いし、
年寄りには良くないからダメ!』
と、言ったんだったっ…」



章兄ちゃんは笑って
「なんだ、これ元はと言えばお前じゃん!」


「うわわ、そうだ私だ!!」
入院中の食い物の○○○でありましたか、
オバアさま。
それはそうだよね……



「そう章兄ちゃん、ほんと困ってるの。
だから是非、
かわいい孫の章ちゃんから、そこのとこ
説得してちょうだい!ねっ」




それから3日後、
章兄ちゃんは
一体どんな説得をしたのでしょうか。





夜仕事が終り、
章兄ちゃんはげんなりした表情で、
帰宅しました。


かついでいたのは、
金ちゃんヌードル・大型ケース箱」



「章兄ちゃんおかえり!あっ」


帰宅していたにーも「ケースごとか…」




章兄ちゃん「わかった。よーくわかりました。
オバア!!はい買ってきたよ金ちゃんヌード!!
もう文句ないでしょう!!」


オバアは、ニッコリ笑って言いました。
「あばあば、うすきなー、まいふかがまやー」
(おやおや、沢山、孝行者だねー)




(;´Д`) ハアハア…オツカレ (´Д`;))



「章兄ちゃん、おつかれさま…ね、すごいでしょ」


にー「まいった。オバアには誰も勝てないなあ」


章兄ちゃん「すごいね。でも俺も只買ったわけではない。
これだけ沢山買えば、
さすがにオバアも飽きると考えた」



その手があったか!



「うまくいくといいね」
「そうだね」「であるね」


少し耳の遠い祖母が、テレビのチャンネルを
換えながら振り向いた。
「はーいあなたたち、何を楽しそうに話してるの?」


「なんでもなーい、なんでもあーる、だいじょーぶー♪」